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七次元先から愛を伝えるよ

#トラカレ2019冬 オープニングと、「トライナリーで一番凄かったのってWAVEじゃん(個人の感想です)」という話

◆オープニング

adventar.org

こんにちは、そぉいです。今年も冬がやってきましたね。冬といえばAdvent Calendarです。

 

トライナリーとアドカレ企画は関連があるので大丈夫です(何が?)

 

実験的に行った #トラカレ2019夏 もなんだかんだ盛り上がって頂きまして、ありがとうございます。

tripledrive.hatenablog.com

去年の冬トラカレはこちらからどうぞ。

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夏コミからTGSを経てアトオンコラボとかなんとかかんとか、なんだかんだで今年もトライナリーに関する話題が尽きなくて結構ビックリでした。来年もこんな感じでゆるゆるとトライナリーの話ができればいいな~、去年のアドカレ当時は勢いだけでやっていきましたが今後はゆるく長く、そんな感じの空気感を維持していきたいので、今年もトラカレ楽しんでいきましょう。現時点ではまだ結構枠残ってるので、気軽に参加して頂けたら嬉しいです。

 

今回は僕にしては珍しくやや真面目な話というか考察というか評論というか、長文感想に近いやつです。いうて大したことは言ってないし全然内容もないので、適当に流してくれれば……ただ、あんまこういうの好きじゃない人もいそうなのでキツいな~と思ったらブラウザバックして「おいオタク!!!キツいぞこれ!!!」とか檄を飛ばして頂けると幸いです。こういう話はトラカレみたいな場じゃないとやらんし……。

あと本記事はトライナリーを「作品」として、「ゲーム」としてある程度メタ的に捉えてる記述が結構多いです!!!自分自身そういうのあんま得意ではないので苦手な人がいるのはわかります、すみません……それでも良いという方は以下からどうぞ~

 

 

 

 

◆トライナリーの「WAVEによるチャット」というシステムは凄い

あ、まずはじめに。今回僕がしたいのはWAVEというアプリの「それっぽさ」の話であって、選択肢による総意の分岐が!とか潜在的欲求補助型対話装置の妙が!とかとかそういう話ではないという点をご了承頂きたいんですけど、そういう体で話を進めていきます。

 

で、本題に入る前にまずはこの動画を見て頂きたいんですけど。

www.youtube.com懐かしいですね。リリース前に公開されたPVの一つです。ワクワクしたなあこれ……

この動画だと僕の考えるWAVEシステムの「良さ」がいまいち伝わりにくいんですけど……要は、これがトライナリーの「実在感」を高め、「あちらの世界と実際に繋がっている感」を引き立てる一番の鍵だったな、と思うわけです。

 

で、まあこの「実在感」っていうのがどこから生まれるかというとそれは単純で、「入力から出力までのラグ」と「表情」なんですよね。

 

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上の動画だとこのあたりのシーンがわかりやすいかな。選択肢を選んでから、みやびが入力して、会話が始まるまで少しだけラグがありますよね。その間に表情が変わったり、場合によってはちょっと考え込んだり、そういうのを画面越しに見ることができる。

これはトライナリーの「チャットアプリでの会話なのに相手の顔を見ることができる」という特質を生かしたシステムだと思うんですが、そういう「ノンバーバル(言語外の要素が多分に含まれた)コミュニケーション」をシステムに組み込んでいることこそがトライナリーのWAVEシステムの強さだったな~と思います。

 

……はい、話したいことはこれで終わりです。トライナリーのWAVEチャットは「間」によって実在感を増していて演出的に凄い!以上です……で済ませると「んなもんわかっとるわい!」という話なので、もうちょっと深堀りして話してみようと思います。

 

◆ノンバーバルな要素の強調

トライナリーのリリース当時は「SNSのようなメッセージツールを使ったコミュニケーション」はやや珍しく、特に「表情」の演出はトライナリー特有のもので他コンテンツで見ることはないのですが、LINEライクなUIのメッセージ表示画面は多くなってきたように感じます。

 

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ペルソナ5」は手動でのメッセージ送りでしたね

ただ、その中でもチャット特有の「間」が存在する作品はとても少ないなあと思います。場合によってはすごい速度でメッセージが送られるものもあり、そうなると「お前タイピング早すぎるだろ!!!」と没入感を失ってしまう原因になってしまいます。もちろん過剰に間を置くとゲーム的なテンポが阻害されてしまう部分はあるので、「間」「表情」をちょうどよく演出に組み込んでいたWAVEシステムには敬服するばかり。

実際、開発中から「そういう意識」はあったようで、トライナリーに関するインタビューの中では何回か「ヒメゴトチャットの重要性」について語られています。以下は土屋Pと東映本川さんへのインタビュー記事からの引用です。

4Gamer
 (前略)次は彼女たちとのコミュニケーションに関する設計や考えを聞かせてください。まず,女の子たちとの交流は最初からスマホを通じたチャットで行うことを決めていましたか。

本川氏:
 単純な話ですが,LINEなどで誰かと会話しているとき,相手がどのような状況にあるのか気になったことはありませんか?(中略)「拡張少女系トライナリー」ならそれが見えちゃうんです!

 

土屋氏:
 先ほど言った「彼女と一緒にアニメを見る」と同じく,チャット形式で会話する「ヒメゴトチャット」は,一番最初にコンテンツ案として挙げていたものです。実在感を表現するためのアプローチとして,現代では当たり前となったスマホを使い,SNSなどのメッセージツールを通して彼女たちと話せれば,それが現実に一番近いスタイルになるんじゃないかと考えたわけです。

「拡張少女系トライナリー」で見せた,ガストと東映アニメの新たな挑戦――すべては少女たちを実在させるために - 4Gamer.net

「一番最初にコンテンツ案として挙げていた」とあることからも、このWAVEによるコミュニケーションにかなり重きを置いて開発が進められていた様子が伺えますよね。これはちょっとソースが出せなくて申し訳ないのですが、「シナリオは書きあがっていたのにチャット中の間や表情の演出に時間をかけすぎてあわやリリースできない事態になりそうだった」みたいな話が出ていた記憶もありますし(ぼったべだったような気がする)、やはりノンバーバルな要素を強調したチャットシステム、というコンテンツ設計自体はおそらく意図的に作られたものでしょう。

 

さて、トライナリー外からですがひとつだけ、ノンバーバルな要素を強調することが有効に働いている例を上げようと思います。アイドルマスター シンデレラガールズスターライトステージのコンテンツ「CINDERELLA POST(デレぽ)」です。

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トライナリーたちのTwitterでの絡みも面白かったし、こういうコンテンツは強い

「アイドル達のSNSを覗き見る」というコンテンツなのですが、これの最大の特徴としてよく挙げられるのが「更新時間がまちまちなこと」で、投稿間隔や時間帯、日付などによって「つぶやきの内容の裏にあるアイドルたちの思考や行動を想像することができる」というのが一種の強みになっています。

同様にSNSの投稿を中心に展開される物語は数多くありますが、個人的にはデレぽがもっとも「間」を有効に使っている気がします(「クラリスさんへの懺悔」とかのワードで調べてみてね)僕自身はデレマスのプレイヤーではないのでそこまでがっつり追えてるわけじゃないんですが、伝え聞く限り結構うまく働いてるみたいですしね。

要はこの「間」の要素がキャラクター性の強調になり、より深くキャラクターを知ることができる、ひいては「キャラクターの質感の表現」に繋がるわけです。トライナリーにおいてのそれは「実在感の成立」です。

 

◆まとめ

つまり僕が言いたかったのは、別にトライナリーの実在感って「こっちの選択が向こうの世界に干渉してしまうこと」とか「こっちが起こしたアクションに向こうからレスポンスがあること」とかそういうのだけじゃなくて、「WAVEにおける"間"とか"表情"とか、そういう細かい概念の積み重ねで彼女たちのディティールが高まること」なんだよな、ということなんですけど。

デイトラだったりTwitterだったり、あるいは聖地巡礼だったり、そういうものによって「ディティールの引き上げ」が急激に行われるイメージが強いものの、本質的な部分はこういうところにあったのかな~と思う次第です。

……と、ここまで考えたところで、そういえば僕は去年のトラカレでも「実在感」のような曖昧な概念について言及していたことを思い出しました。

 

願わくば、このアドカレ企画がそういった「現実の拡張」の一環として何らかの形で読者や参加者の皆さんの手に残ってくれると、企画者冥利に尽きるというものです。

tripledrive.hatenablog.com

「実在感の実感」としてこういう細かいディティールの積み重ねの存在を感じ取ることが、今回の僕の「現実の拡張」なんだよな、ということで。

それでは #トラカレ2019冬 もよろしくお願い致します。